健康診断で行われる脂質検査は、体内のコレステロールや中性脂肪の状態を知る重要な指標です。脂質の値は動脈硬化や心疾患、脳血管疾患と密接に関係しており、放置すると大きな健康リスクを招く可能性があります。本記事では、脂質異常症の予防や改善方法も含め、脂質検査の基準値とその重要性についてわかりやすく解説します。
目次
脂質検査とは?
健康診断の一環として行われる脂質検査は、血液中の脂質の濃度を測定する検査です。この検査では主に、コレステロール(LDL、HDL、Non-HDL)と中性脂肪が評価されます。
脂質は体内で重要な役割を果たし、エネルギー源や細胞膜の構成成分として必要です。しかし、過剰な脂質は動脈の内壁に蓄積し、動脈硬化の原因となることがあります。したがって、健康診断で脂質のバランスを把握することは非常に重要です。
脂質検査の基準値とは
LDLコレステロール
「悪玉コレステロール」と呼ばれるLDLは、肝臓から全身に脂質を運ぶ役割を果たします。しかし、過剰になると血管内に蓄積し、動脈硬化のリスクを高めます。
- 基準値:60~119mg/dL
- 要注意値:120~179mg/dL
- 異常値:180mg/dL以上
HDLコレステロール
「善玉コレステロール」と呼ばれるHDLは、余分なコレステロールを肝臓へ戻し、動脈硬化を防ぐ役割を持ちます。
- 基準値:40~119mg/dL
- 低値(要注意):40mg/dL未満
non-HDLコレステロール
総コレステロールからHDLを引いた値で、動脈硬化の原因となる全ての「悪玉コレステロール」を含む指標です。特に、中性脂肪が高い人やLDLが正常でもリスクがあると考えられる場合には、non-HDLコレステロールの値が重要な意味を持ちます。
- 基準値:90~149mg/dL
- 異常値:210mg/dL以上
中性脂肪
中性脂肪はエネルギー源として重要ですが、過剰な摂取は肥満や急性膵炎などの原因になります。
- 基準値:30~149mg/dL
- 異常値:500mg/dL以上
コレステロールや中性脂肪の値を改善するには
LDLコレステロールが高い場合の改善方法
- 飽和脂肪酸を含む肉類や乳製品を控える
- 食物繊維を含む野菜や豆類を積極的に摂る
- トランス脂肪酸の多い加工食品を避ける
HDLコレステロールが低い場合の改善方法
- 有酸素運動を定期的に行う
- 禁煙し、アルコール摂取を控える
- トランス脂肪酸の摂取を減らす
non-HDLコレステロールが高い場合の改善方法
- 総コレステロールの摂取を減らす
- 野菜中心のバランスの良い食事を心がける
中性脂肪が高い場合の改善方法
- 糖質やアルコールの摂取を抑える
- 魚に含まれるオメガ-3脂肪酸であるEPAやDHAを積極的に摂取する
脂質異常症とは
脂質異常症とは、血中のコレステロールや中性脂肪の値が基準値から外れた状態を指します。この状態が長期間続くと、動脈硬化をはじめとする心疾患や脳血管疾患のリスクが高まります。自覚症状が少ないため、健康診断で早期発見することが重要です。
脂質異常症の原因と予防方法とは
脂質異常症の原因
- 食生活の乱れ:高脂肪・高糖質の食事
- 運動不足
- 肥満
- 加齢
- 女性の場合、閉経後はホルモンの変化の関係でLDLコレステロールが上昇しやすくなります。
- 遺伝や基礎疾患(例:甲状腺機能低下症、家族性高コレステロール血症)
- 甲状腺機能低下症ではLDLコレステロールや中性脂肪が上昇し、動脈硬化の進行のリスクが高まります。その場合、甲状腺の治療により脂質が正常化することが多いです。
- 特に家族性高コレステロール血症では、LDLコレステロールがきわめて高い値となり、30〜40代の比較的若い段階で狭心症や心筋梗塞を発症するリスクがあります。家族にコレステロールが高い人がいる場合は、若いうちから定期的な検査を受けることが重要です。
予防方法
- 食事の改善(バランスの取れた食生活)
- 定期的な運動の実施
- 適度な体重の維持
- 禁煙およびアルコールの適量摂取
脂質異常症と動脈硬化の関係性
脂質異常症は、血管内にコレステロールが蓄積することで動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気に繋がるリスクがあります。脂質検査で異常が見つかった場合は、生活習慣の改善を早期に開始することが大切です。
まとめ 定期的な健康診断と脂質検査で気をつけること
脂質異常症は自覚症状が少ないため、定期的な健康診断が早期発見の鍵です。コレステロールや中性脂肪の数値が基準値を超える場合、医師に相談し、食生活や運動習慣を見直すことが推奨されます。脂質のバランスを整えることで、将来の健康リスクを未然に防ぎましょう。
この記事では、脂質検査の基準値や改善方法について解説しました。脂質異常症が引き起こす健康リスクを避けるために、定期的な検査と適切な生活習慣の維持を心がけましょう。