フリーランスや個人事業主は労働安全衛生法の対象外であり、会社員のように健康診断を受ける法的義務はありません。しかし、事業の継続や自身の健康を守るためには、健康診断や人間ドックを自主的に受診することが非常に重要です。
健康を損ねることは、フリーランスにとって直接的な収入の減少につながる大きなリスクです。本記事では、健康診断を受けるべき理由、適切な受診場所、費用負担の軽減策などについて分かりやすく解説します。健康維持の第一歩として、ぜひご覧ください。
目次
健康診断を受けるべき?受けないとどうなる?
フリーランスや個人事業主が健康診断を受ける必要性について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。まずは、健康診断を受ける重要性と、受けない場合のメリット、リスクについて確認しましょう。
健康診断を受ける重要性
フリーランスにとって体調管理は最優先事項です。健康を損なうと、仕事の中断や収入の途絶につながる恐れがあります。会社員とは異なり、傷病手当金のような補償制度がないため、病気の早期発見や予防は特に重要です。
受ける場合のメリット
- 病気の早期発見や生活習慣病の予防が可能です。
- 生命保険や医療保険の契約、または事業ローン申請時に健康診断結果を求められる場合があります。
受けない場合のリスク
健康診断を怠ると、以下のようなリスクがあります。
- 症状が進行するまで病気に気づかない
- 短期・長期的に治療費が増大する
- 健康問題により仕事の効率が低下し、家族にも負担をかける場合があります。
定期的な健康診断は、自分の体調を把握し、安心して仕事に取り組むために欠かせません。
どのようなクリニックで受けるべきか?
健康診断を受ける際には、どのクリニックを選ぶべきかも重要です。適切な医療機関を選ぶポイントを解説します。
①身近な医療機関を活用する
地域のクリニックや総合病院は、多くの場合、一般的な健康診断を実施しています。住民票が登録されている市区町村が実施する健康診断も、費用が抑えられるためおすすめです。
自治体の健診には下記のものがあります。
- 特定健診(40歳以上):各自治体が実施する健診で、費用が無料または低額の場合が多いです。
- がん検診:自治体の助成を受けて受診可能です
- 国民健康保険加入者向け特定健診
無料または低額で受診できる場合が多いです。自治体によっては無料で実施。有料の場合でも1,000円~2,000円程度が一般的です。
②専門性と費用を考慮
高額な人間ドッグを選ぶ必要はありませんが、自分の年齢やライフスタイルに合わせて検査項目を選びましょう。特に女性であれば、乳がん検診や子宮頸がん検診を追加すると安心です。壮年期以上の男性は、PSAの検査を受けましょう。
③評判や口コミを確認
医療機関の評判をチェックし、信頼できる施設を選びましょう。
どのような内容の健康診断を受けるべきか?
健康診断にはさまざまな検査項目があります。自分に必要な内容を知り、適切な検査を選びましょう。
基本的な検査項目
- 身体測定(身長、体重、BMIなど)
- 血圧測定
- 血液検査(貧血、血糖値、コレステロールなど)
- 尿検査
- 検便(便潜血)
- 胸部X線検査
- 心電図検査
年齢や性別に応じた追加検査
- 女性:乳がん、子宮頸がん検診
- 40歳以上:胃がん、大腸がん検診、心電図検査
特定健診の活用
40~74歳の方は、特定健診(メタボ健診)が市区町村で実施されている場合があります。生活習慣病の予防に役立つため、ぜひ活用しましょう。
健康診断の費用は経費で落とせる?
フリーランスにとって、健康診断の費用負担は気になる点です。ここでは、経費計上の可否や費用負担の軽減策について解説します。
経費としては認められない
残念ながら、健康診断の費用は事業に直接関係しないため、基本的に経費にはなりません。従業員を雇っている場合、その人の健康診断費用は福利厚生費として計上できますが、フリーランスや個人事業主の場合、健診費用は原則自己負担となります。
費用軽減の方法
- 市区町村や健康保険が提供する安価な検診を利用することができます
- フリーランス向けの福利厚生団体が提携している「あんしん財団」や「フリーランス協会」などの補助金制度プランを利用すると、健診費用の割引を受けられることがあります。
- セルフメディケーション税制の適用を検討する(セルフメディケーション税制とは、個人が自身の健康管理や病気予防のために一定の医薬品費用を支出した場合、所得控除を受けられる制度です。)
医療費控除
確定申告で医療費控除の対象になる場合があります。ただし、予防目的の健診(健康診断や人間ドック)は控除対象外です。また、診断の結果、治療が必要とされた場合は、その治療費は医療費控除の対象となります。
健康保険組合や国民健康保険の補助
一部の自治体や健康保険組合では、フリーランスや個人事業主に対して健康診断費用の補助制度があります。国民健康保険加入者向けに特定健診(メタボ検診)を無料または低価格で提供している場合が多いです。
フリーランスや個人事業主が健康診断を受ける際の注意点
健康診断を受けるにあたって、事前準備や注意事項を把握しておくと、スムーズな受診が可能です。
予約は早めに
希望の日程で受診できるよう、早めの予約を心がけましょう。
食事や飲酒の制限に注意
検査前の制限事項を守り、正確な結果を得るために準備を整えましょう。
結果を活用する
診断結果を基に、医師のアドバイスを取り入れ、生活習慣を改善しましょう。
まとめ
フリーランスや個人事業主にとって、健康診断は健康管理と収入の安定に直結します。法的義務はないものの、自主的に受診し、安心して仕事に集中できる環境を整えましょう。健康診断を積極的に活用することで、より充実したライフスタイルを実現できます。