健康診断

気をつけたい便秘の症状と対策とは

便秘に悩む方は少なくありませんが、その対策が適切でなければ健康リスクが増加する可能性があります。慢性の便秘で悩んでいる人では脳卒中による死亡者が2倍以上、心筋梗塞などの死亡者も1.5倍以上というデータもあります。大腸がんや腸閉塞などの病気が潜んでいる場合もあります。また、生活の質も低下します。この記事では、便秘の症状とその対策についてわかりやすく解説します。便秘に対して正しい理解を持ち、適切な対策を講じることで、健康を守るための参考にしてください。

便秘とは

便秘とは、排便が困難だったり、排便回数が減少する状態を指します。一般的に、排便回数が週に3回未満であったり、排便時に強くいきむ必要がある場合、便秘とされています。便秘は単なる不快感を引き起こすだけでなく、長期的な健康リスクも伴うため、軽視せず適切な対処が必要です。

便秘のタイプ

便秘は主に2つのタイプに分類されます。1つは「排便の回数が少ないタイプ」で、もう1つは「排便が困難なタイプ」です。それぞれのタイプには異なる原因と対策が必要ですので、自分の便秘がどのタイプに該当するかを知ることが重要です。

排便の回数が少ないタイプ

排便が少ないタイプの対策

このタイプの便秘は、ストレスや食事の影響で大腸の動きが悪くなることが主な原因です。そのため、まずは生活習慣の見直しが求められます。例えば、毎日決まった時間に食事を摂り、1日3食欠かさず食べることが重要です。また、食物繊維の摂取や適度な運動も効果的です。

排便が少ないタイプの具体的な食生活

便の量が少ない場合は、食物繊維や発酵食品を多く含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。例えば、玄米や全粒粉のパン、ヨーグルト、納豆などが有効です。また、1日に2リットル程度の水分を摂ることで、便を柔らかくし排便を促進します。

排便が少ないタイプの具体的な運動

運動は腸の動きを促進するため、特にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的です。日常生活の中で、できるだけ体を動かすよう心がけましょう。

排便が少ないタイプの排便環境

トイレに行く時間を決め、毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけると良いでしょう。また、トイレに行く際には、前かがみの姿勢をとると排便がしやすくなります。例えば、ひざを肛門より高い位置にするなど、姿勢に工夫を加えることが効果的です。イメージとしてはロダンの彫刻の「考える人」のような姿勢で座ることです。

排便が困難なタイプ

排便が困難なタイプの対策

このタイプの便秘は、肛門や骨盤底筋の機能低下が原因です。排便時に強くいきむことが必要な場合、筋力トレーニングや座薬の使用が推奨されます。ただし、薬物療法に依存せず、生活習慣の改善を心がけることも大切です。

排便が困難なタイプの具体的な食生活

食物繊維や水分摂取に加え、腸の動きをサポートするための発酵食品を摂ると良いでしょう。納豆やキムチなどが効果的です。

排便が困難なタイプの具体的な運動

筋力低下が原因の場合、腹筋や骨盤底筋のトレーニングを行うと良いでしょう。軽い運動を日常的に取り入れることで、腸の動きを改善できます。

排便が困難なタイプの排便環境

便秘がひどい場合、排便時の姿勢が非常に重要です。背筋を伸ばし、適切な姿勢で座ることが求められます。足台を使って、ひざを高くすることで排便がスムーズになります。

便秘薬の種類と副作用

酸化マグネシウム

酸化マグネシウムは便を柔らかくする薬で、長期間の使用でも安全性が高いとされています。主に慢性便秘に対して使用されますが、腎機能が低下している人は注意が必要です。

センナなどの刺激性便秘薬

センナ系の便秘薬は、大腸を刺激して排便を促進する薬ですが、長期間の使用は避けるべきです。腹痛を引き起こすことがあるため、使用は一時的なものにとどめる必要があります。

便秘対策の新薬:ルビプロストン(アミティーザ)、リナクロチド(リンゼス)、エロビシバット(グーフィス)

これらの新薬は、腸内の水分量を増やし、便を柔らかくすることで排便を促進します。副作用として、下痢や腹痛が生じることがあるため、医師に相談しながら使用することが重要です。

漢方薬

便秘に対して、漢方薬も有効な選択肢です。例えば、大黄甘草湯や大建中湯は便秘の改善に効果がありますが、使用には専門医の指導が必要です。

外用薬

座薬や浣腸などの外用薬も、即効性があるため、便秘がひどい場合に使用されます。しかし、長期的な依存を避けるため、生活習慣の見直しが基本となります。

便秘に関連した検査

腸内フローラ検査とは

腸内フローラとは、腸内に存在する微生物の集まりで、消化、栄養吸収なの調節などに重要な役割を果たしています。腸内フローラの乱れが便秘を惹き起こすことがあり、腸内フローラの測定が便秘対策にやくだつことがあります。

血液検査

甲状腺機能低下症や糖尿病、女性ホルモンの変動などが便秘の原因となることもあります。これらは、血液検査で調べることができます。

便潜血検査

大腸がんなどのスクリーニングに適しています。

まとめ 定期的な健康診断と便秘で気をつけること

便秘は日常生活に支障をきたすだけでなく、重大な健康リスクを伴う可能性があります。定期的な健康診断を受け、自分の体の状態を把握することが重要です。また、便秘のタイプに応じた適切な対策を講じ、日常的な予防を心がけましょう。健康的な食生活、適度な運動、そして規則正しい生活リズムを維持することが、便秘の予防と改善に繋がります。

 

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